コラム「ちょんな」

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ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

2008年12月

 私が趣味として 釣りを始めたのは 今から30年程前になります。
それまで フナとハヤ 位しか川の魚を知りませんでした。 川の釣りは長野県の遠山川を教えてもらい それからすぐに 大井川の渓流に魅せられ 今に至ります。
アマゴ
 私の心を動かした 渓流釣りには 多くの 引き付けられる仕掛けがしてありました。
何の汚れもない清流の中に居む 思わず感動をしてしまう きれいな魚の姿。大自然の中上流域や回りに人工物の無い 完全に人間は自分だけの世界。めったに人が入らない所に居る 幻の大アマゴや大イワナの世界。当時から著名な人の書いた、夢を持たせてくれた本が周りにあり、それにも熱中させられました。

 そんな中で 幻の大アマゴと大イワナは私の中に居ました。アマゴ大アマゴは魚止めになる最上流部の水深の浅い所で産卵の準備の様子。エサを付けた仕掛けを投入しても反応は無く平然と日の当たる所を行ったり来たりして水中の岩に体をこすらせる様に泳ぎ 私達を目前にしても驚かず、日なたぼっこをしている様でした。数分立った後、私が思わずタモを持って川に入った所で姿が見えなくなりました。9月も終わりの事もあり 雄のアマゴの顔は黒く婚因色のため 水中でも目立ちます。持っていた仕掛けではとても釣り上げられない2尺(60cm)はあろうと思う姿でした。

イワナ 又、大イワナもある時に 私の目前に姿を見せ平然と泳いでいました。
私を感じると ゆっくりと滝の奥へ消え、それもかなりの大物。それぞれ、夢と消えた幻の魚ですが 釣り上げられなかった事で 夢として残せた事に心の中では惜しい気持ちと 良かったと思う気持ちの両方の思いが浮かびました。その後 その場所に何度と行った事はもちろんですが、確認はできませんでした。

 釣りをするために 林道を使い 入渓をしますが、各林道の入口にはゲートがあり 車での進入を止めています。入山をするには、入山届けか入山許可を得て 徒歩での入山となります。私の釣り場に行くのには数時間以上の山歩きが必要で、場所によっては1日がかりになる所もあります。なぜそんなにまでしてと 周りからは言われますが 何か引きつけられる 気持ちを安らげられる事があるのだと考えています。
単調とも思える山歩きは、周りの自然が毎日、毎回 変化を見せ楽しませてくれます。
山奥の釣果の思いも後を押します。何も無いはずの山の中には 引き付けられる何かがあると考えています。

 “心のふるさと”と表現をした仲間がいましたが 同感です。
この夢を 後の若い人達に残して 守ってもらいたい気持ちになりました。

<T.K>
山 渓流