コラム「ちょんな」

HOME コラム「ちょんな」 コラム「ちょんな」

SCROLL DOWN

ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

2005年2月

 私は迷っている。今大変苦労している工事のことをここに書こうかやめようか、を。でも、結局書くことにする。非常に稀な発注者で、聞けば同業者でも苦労しているらしい。私にしてみると随分無茶を言う所で、何故抗議の声が上がらないのだろう、と不思議な程だ。でも、現実には、その声は上がっていない。考えてみると発注者に対する業者の苦情は、ともすると非難としか受け取られず、事態の改善に繋がらないことが多い。決して自分の立場を良くするものではない。また、単に私の技量不足と甘え、いわばレベルの低さに他ならないのかもしれない。恐らく、その辺りの施工業者の弱さを承知しているから、何の声も上がらないのだろう。

 一つ、具体的なことでは、こんなことがありました。

 計画の基本高さを定めた設計図があります。この計画高さとは、工事金額を左右する数量の根拠の大本です。この高さを出発点として様々な工種の数量が出されています。当然、見積りもこの数量に基づいて出されています。私はこの設計書に従って、工事を進めました。そして、次の段階の工事を準備していると、高さに関する規定を外れる部分が出てくることがわかりました。この規定をクリアする為には、元の計画高さを変更するか、これからやる部分を変更するしかありません。このことが判明して報告した際に、発注者が言った事は、設計図を精査しなかった業者の責任だ、というのです。勿論、言われる通りです。それはその通りなのですが、その余りに簡単な返事に驚きました。設計者の責任って何なの? 発注者は、この一言で済むの?思わず声を上げたくなりました。この一事だけなら私もそんなに驚きませんが、他にも今まで経験したことのないやりとりがあり、頭を悩ましています。
 昔から請け負けという言葉があったけれど、こういうことを指すのだろう。でも、今の厳しい環境の中では、余分なことは言っていられない。

 何か侘しくなるなあ。外には風花が舞っている。冬の寒さがますます身に沁みる。

<M.I>