コラム「ちょんな」

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ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

2019年6月

 仕事の話で恐縮です。今呆けた頭を振り絞って舗装の勉強をしています。なかなか覚えられないし既に試験に2回も落ちているので、えらそうなことは言えないのですが、勉強していると改めてなるほどと感心させられることが多いです。NEXCOの技研から出されている「長寿命舗装の作り方」という本を読みました。如何にして舗装を長持ちさせるか、最近よくいわれる長寿命化の話です。本の宣伝をしようというのではありません。日頃仕事で接しているので本に書かれていることが大体わかります。ですから一技術者として大変教えられました。気づかされました。
 今の舗装は、維持修繕が殆どです。小額工事では部分的に打ち換えますし、舗装修繕工事となればある程度の面積の切削オーバーレイを行います。工事の際に下が悪ければ部分的に改良するのは当然です。プルーフローリングをして不良箇所がないか、もちろん確認します。
 しかしこの打ち換えた舗装が何年使われるのか、次の打ち換えはいつになるのかということを考えたことがありませんでした。今の舗装が何年使われたのか。果たして今回の打ち換えた舗装は、今後何年使われて次回の打ち換えが行われるのか。それは今までよりも長くなるのだろうか。もしかしてこれまでより短くなって、早晩打ち換えなければならなくなるかもしれません。
 アスファルト舗装は、大体10年でひび割れが発生して、15年経つ頃には打ち換えをしなければならないように設計されているとのこと。つまり、打ち換えの際に私達が目にする路盤や基層は、10数年ぶりに地上に顔を出したのです。10数年ぶりに目にする路盤や基層の状態の善し悪しが、今後何年打ち換えずに済むか、打ち換える舗装が何年持つかを決めるのです。多少でも沈下していると古いアスファルト混合物が残ります。そして今まで以上に早く、そこからひび割れが発生します。古いアスファルト混合物は劣化していますし、まして殆ど厚みがない状態では支持力はありません。又沈下している所には一番先に水が浸透し、含水比も高く最も弱っている部分です。泥化していることも多くあります。
 10数年ぶりに顔を出した大切な舗装の基盤の弱点を直せるのは、それを目にする私達技術者しかいないのです。弱点を見過ごして、数年も経たずしてひび割れが発生したとしたら、「何の為に技術者はいるのですか? 技術者は、一体何をしているのですか?」と問われて何と答えられるでしょうか? 「設計通りに切削して、設計通りにちゃんとオーバーレイをしました。」と答えますか?舗装のことを何も知らない市民に胸を張って言える答えでしょうか? 繰り返しになりますが、「何の為に技術者はいるのですか?技術者は、一体何をしているのですか?」という言葉が、私にとっては衝撃的でした。素朴で非常に重い質問だと思いました。

<M.I>