コラム「ちょんな」

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ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

2019年8月

引佐の山中に
 山道の斜面を下ると目の前に開けた平らな敷地にでる。鳥の鳴き声が聞こえ、木々の葉の隙間から光がもれ、様々な緑色が目に映る。
山奉行所看板 浜松市街地から県道257号線を新東名高速道路引佐インターチェンジ方面へ向かうと、引佐町東黒田の廣冨稲荷神社のすぐそばに山奉行屋敷跡が残されています。山奉行所とは案内看板によると『江戸時代に浜名湖北部一帯を支配していた近藤氏一族が知行地である山林を治めるために配置した役所です。山奉行の職務は、山間の開墾や管理、切り出した木材の払い下げに及び、また、木材は江戸の屋敷の普請にも使われた』といいます。

 住居の跡と思えるものは残存していませんが、墓所、石垣で区分された敷地、石積の水路、円形の井戸など貴重な遺構が残ります。年月の経過は感じますが野面積みとは思えないほど整然と留まります。当時の土木技術の一端も垣間みることができる状態です。井戸は大河ドラマ「直虎」で登場した石組み井戸の面影が。

石積井戸跡

 ただ最近まで地元でもその存在はそれほど知られているものではなく、有志団体の『東黒田村おこしの会 NPO法人い〜ら・いだいら』によって発掘、保存の動きになっています。
東黒田史跡案内看板 草刈り、倒木の除去、溝に溜まった泥の排出、倒れた墓石の復元など地域の手によって再び当時の姿が分かり始めました。急傾斜な山道整備など地道な活動を行っている地元の人々には頭が下がる思いです。
 入口の道端には史跡案内看板も設置され東黒田の史跡を回れるようになっています。
 ハイキングコースにもなっているので足元に気を付けて是非訪ねてみては。

<M.Y>