コラム「ちょんな」

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ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

2012年1月

ベトナム紀行

 湖西市商工会工業部会内で、新技術・新産業調査研究会なる分会を立上げ、その活動の中で海外進出の調査研究を目的としたベトナムへの視察研修事業として、本年3月には、ベトナムのハノイ市で製造業を中心とした日系企業への視察を11月には、ホーチミン市の日系企業の製造業及び周辺都市での都市開発計画地域の視察を行ないました。

 両視察とも、4泊5日の日程でしたが、機中泊もあり実質3泊4日と言う日程でした。

 まずは、3月のハノイ市訪問からです。

 10数年前に、海外の入国管理局で少し揉めて以来、海外旅行が嫌いになりこの間渡航した事はなかったのですが、今回は海外に企業進出を目指す経営者が集まって、ベトナムの現状と動向を調査する目的で視察団を組み渡航となりましたので、商工会の役員と言う立場もあり同行させていただきました。

ハノイ空港から市内への沿道

 愛知県のセントレア空港から、空路でハノイ空港までは約5時間。
ベトナムは時差が2時間なので、13時頃の飛行機に乗ってハノイ空港に着いたのが16時頃。初日は、空港からそのまま宿泊先のホテルに直行しました。

 ハノイ市に降りた時の印象は、非常に埃っぽい感じで、以外と緑が少なくて土埃が凄かったです。首都に近づくにつれて交通量も多くなり、自動車よりも二輪車の多いのには驚きました。

 二輪車が多いとは聞いていましたけど、少し前の北京の自転車が全て二輪車って感じで、しかも運転が非常に粗く、また常にクラクションを鳴らしていました。

 しかも、交差点には信号機という物が殆ど無く、無理にでも進入して行かないと前に進め無いと言うような印象を受けました。

ハノイ市中心地付近の交通状況

 海外進出を目指している企業の集団のため、随行として数行の銀行職員が同行し、現地ベトナムでも副頭取等が合流した後、ホテルの近くで夕食会となりましたが、早々に夕食を取ながらのベトナムの経済と誘致状況等のセミナーが行なわれました。

 ベトナム国内は通貨が安定していない為、外貨が非常に喜ばれるようでドルは勿論のこと、円も使え非常に助かりました。

 食事後、初日の疲れもありホテルの戻って熟睡したのですが、朝の5時頃から、二輪車と車のクラクションが鳴り響き、五月蝿過ぎて起きてしまいました。
それは、通常のハノイ市内の通勤風景らしく、早朝にも関わらずクラクションを鳴らしながら走っているようでした。
このクラクション音は、どこに行っても聞かれました。

 現地視察は、日本企業の工業用開発都市のタンロン?で、本来は見学を受け入れていない大手企業ばかりのため、視察先の撮影は全て禁止されており、プレゼンを受けたのち現地工場見学となりました。
現地工場には、殆ど日本人がいないにもかかわらず、工場内の公用語は日本語でワーカーの方から日本語で挨拶されたのには驚きました。

 ベトナム人からすれば日本語は覚えやすいようで、逆に日本人はベトナム語の発音が難しいとの事で、訪問した日系企業は全て社内公用語が日本語になっていました。

 翌日は、現在、住友商事さんが開発中のタンロン?を視察しました。

 ここで、住商さんからのプレゼンを受けて開発地区の見学と既に開発された土地に進出している日系企業6法人の視察を行ないました。

建設途中の建物

 ハノイ市は、工業都市開発が行なわれていて、日系企業が中心となった工業団地があり、今後も製造業の工場が多数建設される予定との事でした。

 ベトナムは、地震も少なく日本とは建築基準が違っており、工場なども非常に簡素な造りになっていたのには驚きました。
鉄骨の太さや柱の少なさ、それに基礎工事等、日本では考えられないような造りで、更にそれらを人海戦術で施工している様子は、人件費が安価な国ならではだと思いました。

ハノイ空港から市内への沿道


 11月は、商業地域であるホーチミン市を中心にベトナムへ訪問することになりました。

 日程の都合上、中部国際空港から直接ホーチミン空港に飛ぶ飛行機が出発時になかった為、ハノイ経由ホーチミン空港へとなってしまいました。直行だと、6時間程度のフライトになると思います。

 ホーチミン市は商業都市だけあって首都のハノイより人口が多く、街として完成しつつある感じがしました。

ホーチミン市中心地付近の交通状況

 ハノイ市は、街全体が埃っぽかったし、まだまだ発展途上ってイメージでしたが、ホーチミン市は洗練された雰囲気が漂っていました。

 ホーチミン市内の道路行政がフランスの統治下にあった事から大きな交差点は、全てロータリーになっていましたが、これが大渋滞を起こす原因ともなっているそうで、ハノイ市と同様に二輪車が殆ど道を占拠している感じでした。
しかし、ハノイ市と違いクラクション音は、意外と静かで無駄に鳴らし続けて走行しているというイメージはありませんでした。

 あとで聞いたのですが、ハノイ市民は気が強くて攻撃的、ホーチミン市民は少しおっとりしているとの話でしたから、その違いがクラクションに現れているのかな?と勝手に判断しました。

 翌日、ホーチミン市の北側に位置するヒンズン省で、日本で言う都市開発機構的な会社を訪問させて貰いました。

 この会社は、政府より土地を借り受けて都市を作り売り出すという政府系の機関ですけど、複合都市計画として昼間40万人、居住区で12万人の都市開発を現在着工中との事でした。

レンタル工場の造り

 2020年までの完成を目指すとの事で、凄いスピードでの都市造りだと思ったのですが、現地としては遅いそうで、更に計画を前倒しして効率アップに努めているそうです。
あとは、日系企業の視察として製造業及日系の商業施設を訪問させてもらいました。
開発地域の為、高層ビルも建てられていたのですが、やはり地震が少ないとの事で高層ビルであっても鉄骨構造が少なく、鉄筋構造の建物ばかりだと聞かされてビックリしました。

 このような造りの状態を見た同行者は、『日本の技術で工場を建設してもらわなければ安心出来ない』と言っていました。
実際には、日本の大手建設企業も進出して工場等の施工を行なっているのですが、監理する技術者が足りない状態だそうです。

 新興国には勢いが有り、そこには新たなビジネスチャンスもあると思いますので、帰国後にプロジェクトを立ち上げて海外進出を模索しながら、更に調査研究を重ねていくつもりです。

<H.I>