コラム「ちょんな」

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ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

最新号 2026年6月

近江八幡
~ 時のリーダーに翻弄された若者の街づくり ~

 古いもの好きの今回は、大河ドラマ豊臣兄弟で思い出した近江八幡について取り上げてみました。
近江八幡の町を歩くと、その整然とした町並みの奥に、秀吉の養子秀次が描いた未来都市の輪郭が浮かび上がってきます。碁盤に区切られた通りや、石積で整備された運河が商人や産業を育てるための仕掛けとして考えられていて、どれもが時代を先取りした都市計画の結晶であり、権力者に認められるべきものであるはずが、その才覚こそがやがて権力者にとって脅威となった事で悲劇を招き秀次の名は消されてしまったが優れた町はその後生き続け近江商人を生み出すもととなり、優秀さを静かに証明し続けているように思います。
 八幡掘りの野面積みの石垣に触れると、不揃いの石積が城の石垣にはない、何かを語りかけているようでもあり、四百年の風雨を受け止めてきた重みが伝わりその石一つひとつが、権力者により断たれた彼の志を現代まで伝えているようでもあります。権力の波に吞まれ、町をつくった本人は姿を消し彼が描いた町だけは、その非情を静かに受け止め今なお琵琶湖の風の中で息づいているように感じられます。そんな町は豊臣兄弟のブームなのか観光客があふれ、若者に人気の洋菓子店には列を作りお土産を求める人で華やいでもいました。

 せっかくなので町を築いた秀次の志に思いをはせながら、疲れたた足にご褒美として近江牛をいただくこととしました。そのすき焼きの深い旨味は絶品でこの地が長い年月をかけ育て上げてきた豊かさの象徴のようでもあり、失われた未来を抱えた歴史の重さを、そっと和らげてくれる気がしました。

<T.K>